東京中探してもなかったレコード音源が田舎で見つかった話

田舎暮らし

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2015年、冬

俺は東京中を駆け回っていた

渋谷、原宿、高円寺、下北沢

コアなものが集まりそうなところへ繰り出しては、

ある中古レコードを探し回る

ネットでももちろん調べた

大抵の物なら店よりも安く、確実に届く手段だ

そんな現代の武器を使わないわけがない

それでもやはり、見つからない

再生できる音源すらない

正直その曲が聞ければ、

動画でもなんでも構わない

しかし辛うじて確認できるのは

SOLD OUT

という通販サイトの文字のみ

ものがあふれ余っているこの時代に、

レコード一枚がなぜ見つからない

音楽に詳しいですオーラを醸しだすレコード屋の店長

100000曲ダウンロード可能とかほざく音楽サイト

そういうものたちに対し、

「おめーら何にもできねーじゃねーかよ!」

と、理不尽な怒りを心の中でぶつける当時19歳の自分

その後1か月以上探し続けるも、

結局諦めざるを得なかった

社会に対する万能感が喪失した瞬間だった

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「こんなに熱心になって探すのだから、

さぞかし名盤で、値の付くものなんだろう」

そんなこと思うかもしれない

大変恐縮だが、

ただの古いアニメのサントラだ

正確には、もともと出ていたアルバムを、

監督が自分のアニメに使ったという形だが

音楽にそんなに詳しくない自分は、

もちろんアニメから入った側の人間

調べてみると、

その世界では結構有名なHIPHOPトラックメーカーだとか

とにかく、

俺はそんなものを血眼になって探していた

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時は流れて2020年

5年の歳月の間、紆余曲折を経た自分は

人口1900に満たない田舎で暮らすことに

もちろんレコードを探していた過去などすっかり忘れ、

全く異なるものに興味が集中しているとき、

それは突然見つかる

その日は日曜日

安定の昼起き、寝スマホ

休日のルーティンを華麗に決めていく

お気に入りのYouTubeチャンネルを見ていると突然

“Tsuchie – Tokyo Tower”

というタイトルの動画が関連動画に出てくる

「ん、これは?」

見覚えのあるタイトルと、ジャケット写真

再生してみると

当時渇望していた音楽がそこにあった

マジかよ…

驚愕と感動で言葉が出ない

【拡散希望】と銘打ってツイートするも一つもRTがなかったこと

あのレコード屋の店長が実は一緒になって懸命に探してくれたこと

店長、ごめんなさい

音とともに眠っていた様々な記憶がよみがえる

例えるなら

海で泳いでいたら、

突然手のひらに宝が流れついてきた感覚

なぜか色んなものへの感謝の気持ちを抱いた

ネット上とはいえ、

東京中をさがしても見つからなかったものが、

レコード屋どころかスーパーすらない田舎で見つかったのだから

こんな他人にとってどうでもいいことを、

なぜこう長々と書いたかというと

この経験から

都市部と地方の情報格差の縮小

を感じたからだ

インターネットのおかげで、

ほとんどの情報が地方でも手に入る

手に入らないものは、

各分野のトップが見つける最新の情報

それを今後うまく得ることができれば、

何も知らない田舎者になることはないだろう

むしろ都市部よりも

物質的にも文化的にも数倍よい生活ができる

農的な暮らしを理想とする自分ではあるが、

インターネットはとても重宝しているし、

もっと発展してほしいと願っている

その二つは相反するものではない

今後の田舎暮らしはネットのおかげで、

どんどん豊かになる

そんなことを感じさせる日曜日だった

終わり

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おまけ

最後に、

自分が探し求めていたレコードの中の一曲を紹介する

日本のトラックメーカー”Tsuchie”による”On Filter”だ

俺が愛してやまないアニメ「カウボーイビバップ」の最終回で使われている

内容がテレビ局への批判だったため

その回だけ未だにDVD化されていない

現在販売中のDVDの最終回は、

また別のものに差し変わっている

当時これを観た自分にはかなりの衝撃だったのを覚えている

90年代のサブカルやカウンターカルチャーは、

自分にとてもささるものがある

生まれた年代だからか、

世紀末特有の空気感があったからだろうか

それは分からない

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